地域用水機能増進事業

要  旨
農家の兼業化や非農家との混住化が進む中、農地や農業用施設に対する意識がだんだんと薄らいできています。先人達の苦労の末に造られた立梅用水は、農村の歴史や文化を育み、全国にも類を見ない里山用水としての自然景観や利用形態に地域用水としての優れた特性を有し、現代へと伝えられて来ました。この地域遺産というべき立梅用水を将来に渡り維持保全していくためには、組合員のかんがい用水としての利用だけにとどまらず、地域の大切な資源としてとらえ、地域住民と改良区が協働し、施設の機能増進と多面的活用を図ることが必要です。そしてその結果として、農家も非農家も都市に住む人々もこの地域用水機能を必要とし、その恩恵を享受できる地域社会が育まれるようになることがこの活動のねらいです。
三つの地域用水機能増進目標(多面的機能の発揮)
(1) 地域ボランティアと改良区が協働し、用水施設周辺へあじさい植栽を行ない特色ある景観機能の増進
(2) 施設や農地を多面的活用した「あぜ道とせせらぎ」づくり、あじさいまつりや里山ウォーキングの開催など、広く人々のやすらぎや健康、教育や交流の場としての機能増進
(3) 防火・環境用水機能の増進
地域用水機能増進対策協議会
地域用水機能増進対策協議会

← 水土里ネット立梅用水・農業主婦・地域ボランティア・教育関係者・区長会・JA勢和・多気町役場・水土里ネットみえ・三重県などの代表20名で構成する地域用水機能増進対策協議会を開催し、地域の人々と水土里ネットの協働による地域資源の「保全」・「増進」・「活用」に関する活動内容を検討しています。

地域用水機能増進対策協議会規約・組織構成

ソフト事業(H10〜H19)
平成5年より丹生地区では、ボランティアグループ「あじさい倶楽部」と改良区と協働し、田んぼの周りや立梅用水沿いにアジサイを植え、特色ある農村景観を作ろうと「あじさい一万本運動」が行われてきました。その活動が「あじさいいっぱい運動」として多気町勢和地域全体に広がり、同運動協議会の設置とともに年々活動も活発化し、景観機能の増進が図られています。

←(立梅用水沿いにアジサイを植栽)
広域消防組合や消防団との連携を図り、防火・環境用水(洪水時の排水処理を含む)として、地域の人びとの大切な生命や財産を守り、地域の生活環境用水としての機能増進を進めています。
補完ハード事業(H10〜H20)
(朝柄地区・遊歩道整備)
遊歩道として透水性の舗装がされ、用水には景観に配慮し間伐材を利用した、安全施設が設置されました。
(チェックゲート整備)
流水を利用した防火・環境用水としての機能増進を図るため、今までの巻上げ式ゲートから管理の容易なワイヤー式転倒ゲートへと整備され、維持管理の軽減が図られています。